2025.4.9
「我が国の文化政策とコンテンツ産業の振興について」
文化庁長官 都倉 俊一 氏
産業。日本の素晴らしいコンテンツを世界のマーケットに発信して産業化する活動を、CBX(Cultural Business Transformation)と掲げて取組んでいる。
日本のコンテンツの輸出規模は約5.8 兆円と、半導体や鉄鋼産業を追い抜いている状況である。世界のメディアミックスの使用料ベスト17 のうち、ポケモンやハローキティなど、7 つのコンテンツがメイドインジャパンである。
日本のコンテンツ産業の特徴は、ジャンルの「豊かさ」であるが、ゲーム、アニメ、マンガを中心。映画、音楽、舞台芸術なども、世界の表舞台で活躍させたいと思っている。
一例としては、「千と千尋の神隠し」の舞台。ロンドンで3 か月の限定公演だったが、大成功を収め、イギリスの演劇賞で作品賞にノミネートされた。これは日本の舞台芸術が世界に認められた証。
音楽の分野では、主要な5 団体が垣根を越えて「CEIPA」という産業振興会を設立し、世界への発信を強化しようとしている。5 月には、初イベントとして、アジア版のグラミー賞のような音楽イベントを京都で開催する予定。
もう一つの大きな柱が、アート分野。文化芸術の分野の若手の芸術家は、世界のマーケットに参入できる方法がなく、マネタイズで苦労している。文化芸術の市場規模としては、日本は世界の1%に満たない。国際アート市場自体は、大規模に展開されており、日本に数多くある素晴らしい美術品などの宝を、世界のコレクターの目に触れる機会を創出することが、日本の文化芸術の飛躍に繋がると考えている。
大量生産・消費の時代は終わった。これからの日本は、自らが持つ素晴らしい付加価値を掘り起こし、文化芸術、スポーツ、観光を組合せて、文化芸術立国を目指すべき。コンテンツは、人の心に訴えることが出来、輸出額5.8 兆円が、数十倍に膨らむ可能性を秘めている。
文化庁長官の任期はあと一年。その後は民間の立場からも文化芸術立国の旗を振っていきたい。引き続きのご支援をお願いしたい。
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