2025.3.19

「京都の救急医療と京大病院」
京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学 教授
ヘルスセキュリティーセンター 教授
京都大学医学部附属病院 初期診療・救急科長、救急部長
大鶴 繁 氏

2024 年ようやく京大病院の救命救急センター化が実現となりました。

私、神戸大学ではラグビー部に在籍しながら医療を学んでいましたが、3 回生時に阪神淡路大震災を経験し、その際初期救急医療体制の問題点が大きくクローズアップされたことを受け、その後医師として中越地震や東日本大震災への派遣など災害に対する救急救命任務に従事し、「救命救急医療」が私のライフワークとなりました。現在救急医療の需要は右肩上がりとなっており、その中でも高齢者救急医療が大きく増加しています。

一方昨今の2024 年問題(医師の働き方改革推進)の状況もあり救命救急センターがよりひっ迫する状況となっています。京都においては救急病院数の漸減に対し需要が増加しており、救急搬送困難例(30 分を超える搬送時間)も増加していたことから事実上の崩壊状態になっていました。特に災害時(自然災害・コロナ等感染症発症時)の対応もあり、ようやく昨年京大病院第八次医療計画に合わせ京都の救命救急センターを増設いただきました。しかしこの年末年始にはインフルエンザの大流行により搬送困難の激増が起きてしまい、まだまだ体制の脆弱さを感じた現況です。

京大病院では従来基礎医学研究・高度先進医療・一般医療の優先順により一般医療の位置づけが低かったのですが2013 年の将来構想によりその位置づけが変わり、今般救命救急センター化の実現が出来ました。

そして現在は全国の国立病院の中で第一位の救急車搬送受入台数となっています。この救命救急センターの運営に当たって各専門診療との緊密な連携を心掛け「ワンチーム」で取り組めていることが当病院の大きな支えとなっています。

また地域に根差した救急医療制度を特に意識して運営を行っています。併せて現在医療防災研究(災害時に医療を継続させるための設備研究)も行っています。究極の災害医療の目的は被災地の健康・暮らしを守ることであり、それに向けた健康危機管理には地域社会の連携が重要として研究を進めており、今後とも健康危機に強い社会づくりを目指してまいります。

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