2025.2.19

「安定的な皇位継承問題」
産経新聞社 論説委員長
榊原 智 氏

今上(きんじょう)陛下と秋篠宮皇嗣殿下に続く、次世代の男性皇族は悠仁親王殿下おひとりしかいない。日本の皇位継承については、奈良時代の末に非皇族の僧が天皇になろうとした「道鏡事件」以来、2回目の危機にあるといわれる。

令和4年1月には岸田内閣が、皇族数の確保について検討した有識者会議の報告書を国会に提出した。国会では現在も、この問題について議論が重ねられている。

「皇室典範」の第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定めている。日本のように神代から続く皇室は世界のどこにもない。日本の天皇が尊ばれるのは、国の始まりから例外なく男系の血統で皇位が継承されてきた歴史の重みがあるからだ。父方をたどれば初代の神武天皇に繋がる。これを日本人は万世一系とたたえ、皇室を大事にお守りしてきた。

男系の血筋でなければ天皇に即位できないという原則を守ることによって、非皇族の権力者が皇位を奪い取ることを防いできた。これが日本の歴史の一大特徴なのだ。ゆえに日本国憲法の第1条にも「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」(原文ママ)と規定されている。

歴史と伝統を放棄すれば、君主である天皇の位というものの正統性が失われる。私たちも、次の世代へ天皇、皇室を引き継ぎ、お守りしていく必要があると考えている。そのためには、今のうちに皇室の裾野を広げ、天皇の位が途絶えることがないような仕組みを整えなければならない。

国会で議論のベースになっている政府の報告書は、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」「皇位継承の歴史や伝統の重みについて改めて認識を深めた」としたうえで、皇族数の確保策として三つの案を示している。

その一つが「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子(※旧宮家の男子)を皇族とすること」という案だ。一度、臣籍降下して皇族ではなくなった方が、皇族に復帰して即位した先例もあり、この案が最も合理的で穏当な方法だと考えている。

国会でどういう議論が進んでいくか、これからも注目していきたい。

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