2023.8.9

「日本の臨床研究はどのようなルールに基づいて実施されているか?」
大阪歯科大学 教授
樫 則章 氏

京都R.C.の本年度の武田会長の方針は「心身ともに健やかに」ときいていますが、心身が健やかになるためにも、本日のテーマである「臨床研究」はなくてはならない不可欠な研究なのです。

医療関係者は当然承知しているのに、医療関係者以外の一般の方にはあまり知られていない臨床研究の実施状況について、規制のあり方を切り口にして、知ってほしいと思っています。

臨床研究とは、人を対象とする広い意味での医学研究をいうが、法律によって規制されている臨床研究は次のように3つある。
(1)治験と薬機法
治験とは、企業が医薬品等の製造・販売について国の承認を得るために医療機関に依頼して、人を対象として安全性や有効性について行う試験をいうが、薬機法で規制されている。

薬機法とは、旧薬事法が改正されて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」をいう。

(2)特定臨床研究と臨床研究法
特定臨床研究とは、未承認・適応外の医薬品等の臨床研究及び製薬会社等から資金提供を受けて実施される当該企業の医薬品等の臨床研究をいい、臨床研究法により規制されている。

特定臨床研究の実施はかなりハードルが高く、研究実施のための手続きが複雑で、わが国の臨床研究が滞るのではないかと懸念されている。

(3)再生医療と再生医療法
再生医療とは、「人の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成」又は「人の疾病の治療又は予防」を目的として細胞加工物(人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの)を用いた医療をいう。ただ目的は同じでも、化学的の合成されたものを投与する医療は再生医療とは呼ばれない。

薬事法の改正の背景には再生医療の研究開発及び実用化の促進があり、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療法)ができた。
この他、国の指針によって規制されている臨床研究等々もありますが、時間の都合上省略します。

「心身ともに健やかに」なるためには、臨床研究の実施状況について、いろいろな規制が多くあるなかで多くの関係者が研究を進めていることを是非理解してほしいと思います。

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