2023.4.26

「日本の現代アートマーケットについて」
ACKプログラムディレクター
山下 有佳子 氏

「現代アート」とは、第二次世界大戦後から現在までに作られた美術作品をいう。英語では「コンテンポラリー・アート(contemporary art)」。私たちが生きている時代と「同時代の美術」という意味だ。現代アートは時代を映す鏡だと思う。今の社会とつながっている。さらに現代アートには人々をつなげる力がある、と私は考えている。

アートにはどれくらいの価値があるのか。例えば、アメリカのウィレム・デ・クーニングの絵画には350億円の値がついた。これが世界のオークション史上、最高値といわれる。
世界のアート市場の規模は、2022年時点で約9兆75億円。前年度対比はプラス3%で、コロナ禍のなかでも伸びた。おうち時間が増えて、その時間を彩るアートへの関心が高まったのだろう。

世界市場の国別シェアは、アメリカが45%で第1位。イギリス、中国が続く。日本の市場規模はまだ小さいが、世界の約1%を占めるまでに成長した。アジア諸国の市場が拡大しつつある。

日本の現代アート作家では、草間彌生さん、奈良美智(よしとも)さん、村上隆さん、名和晃平さん、金氏(かねうじ)徹平さんなどが有名だ。京都とゆかりの深い作家も多い。それは、京都に芸術大学が多いからだといわれている。京都では今も、若手の作家が育っている。世界の舞台で活躍するアーティストの皆さんが、京都をはじめ日本の現代アート市場を盛り上げようと、熱意をもってその牽引役を担ってくださっている。
最近、「アートシンキング」という言葉が登場した。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が増す社会情勢のなかで、アーティスト的思考がビジネスにおいても求められている。現代アートの面白さは、作者だけでなく、同時代を生きる支援者が一緒に、価値を作りだしていける点にある。それは「アートシンキング」の根幹に通じると思う。
京都には、ギャラリー(画廊)がたくさんある。アートに身近にふれることができるので、気軽に立ち寄ってほしい。

10月28日から国際会館で開催されるアートフェア「Art Collaboration Kyoto」(主催:京都府ほか)は、今年で第3回を迎える。世界各国から約65軒のギャラリーが集まり、たくさんの現代アートにふれることができる。この機会にぜひ、多くの皆様に現代アートを楽しんでいただきたい。

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