2023.2.8

「大丸松坂屋百貨店の未来像」
(株)大丸松坂屋百貨店
代表取締役社長
澤田 太郎 氏

2010年に大丸と松坂屋が合併し、大丸松坂屋百貨店が誕生した。大丸は1717(享保2)年に、下村彦右衛門正啓(しょうけい)が伏見の古着商「大文字屋」を始めたのをもって創業とされる。松坂屋は1611(慶長16)年に名古屋で創業した。

とくに大丸は、京都とのゆかりが深い。大丸の業祖・彦右衛門正啓は、古着を担いで伏見街道を行き来する途中、「瀧尾神社」に毎日、熱心に商売繁盛の願掛けをした。後に大丸が繁盛したお礼に、下村家は社殿の修復などに2500両を寄進したという。その瀧尾神社と大丸の深いつながりは今日も続いている。

正啓は、当時として革新的だった定価販売や本社での集中仕入れなど、後世の百貨店経営の先駆けとなる経営手法を開発した。彼の掲げた「先義後利」(義を先にして利を後にする)の精神は、今も当社の経営理念に受け継がれている。

現在の大丸松坂屋は、GINZA SIXも含め、全国に15店舗を展開している。創業者の革新性に学び、さまざまな新しい取り組みを進めている。

2017年には「未来定番研究所」を立ちあげた。未来の定番になるライフスタイルなどを研究し、ウェブマガジンを通じて情報を発信している。「AnotherADdress(アナザー・アドレス)」という、サブスクのファッションレンタル事業も軌道に乗りつつある。「ARToVILLA(アートヴィラ)」は、現代アートをウェブで紹介しながら、販売していく仕組みだ。端的に言えば当社は、価値あるコンテンツを自ら開発して、店舗とオンラインと外商のタッチポイントを通じて、お客様にモノやサービスの価値を伝達する会社だと考えている。

百貨店が「小売業の王者」と呼ばれたのは昭和の話だ。だが百貨店として、まだまだ強みを発揮できる分野がある。品質、素材が良いから高額になるが、職人技が光るクラフト的な商材、非実用的でも心を動かすアート性や希少性の高い商材、そういう分野が百貨店の主戦場になる。

日本各地の店舗で働く仲間がそれぞれに、個性あるローカルのコンテンツを開発し、その価値を高めて、全店舗のネットワークを使って売る。そういう取り組みも進めたい。

大丸松坂屋の伝統と信用を最大限に活用した、新しいビジネスを展開することで、独自の成長路線を今後も切り拓いて行きたいと考えている。

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