2022.10.19

「超少子高齢化社会の深化、ますます厳しくなる医療・介護情勢の中で」
(株)三笑堂 営業企画部 次長
吉田 賢一 氏

2025年には団塊の世代が75歳以上になり、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になる。わが国の高齢化率はさらに上がり、超少子高齢化のピークへ向かっていくと言われている。

高度経済成長期には、病院(病床)が増えた。病院で助かる命が増えた一方で、病院で亡くなる人も多くなった。自宅で家族にみとられて逝く人は激減した。その結果として、医療・介護の費用はふくらんだ。日本は医療において、世界に誇る急成長を遂げて長寿国になった。だが、社会保障関係費の急増が懸念される状況にあるとは皮肉な話だ。

2019年の日本人の平均寿命は女性87歳、男性81歳だった。誰もが、死ぬ直前まで元気でいたいと願う。だが健康寿命からすると、女性は亡くなる前の12.8年間、男性は9.8年間、闘病や要介護の状態で生活していることになる。

昨今では、医療・介護の費用を抑えるために、効率がよくて効果のあがる、医療と介護の連携が求められている。病気を早く見つけて治療し、リハビリをして、早く自宅へ帰れるようにするということだ。そのためには「地域包括ケアシステム」の構築も重要になる。本人の選択や家族の心構えを尊重しながら、高齢者の医療、介護、保健福祉について、地域全体で考えようという取り組みが進められている。

介護が必要になる原因の第1位は、数年前まで脳卒中だった。今は認知症だ。
病気が治っても後遺症があって、誰かの援助が必要になると、本人も周りの人も辛い。大切な人への思いがすれちがい、互いにぶつかることもある。だが、そういう時にも、本人が尊厳を保ち続けて自分らしく生きること、これが一番大切だと思う。医療・介護の従事者も、病状の回復だけでなく、個人の尊厳を尊重したいという思いでお手伝いしている。自分が誰かのために頑張れたり、誰かが自分のために頑張ってくれていたり、当たり前の平穏な日常の繰り返しこそが、一番の幸せかもしれない。

京都ロータリークラブの「感謝の歯車」というテーマのように、日々、支え合う人それぞれの感謝の気持ちが、歯車のようにしっかりとかみ合っている時にこそ、人は幸せな時間の流れを感じられるのではないかと思う。

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