2022.10.12

「現代社会と漢方」
(医)聖光園細野診療所 理事長
京都R.C.会員
中田 敬吾 君

漢方医学は古代中国大陸で発生し、後漢の時代に医聖「張仲景(ちょうちゅうけい)」により体系化され今日に伝えられている。

日本には5世紀に朝鮮半島を通じて輸入されているが本格的に日本の医学として発展したのは室町末期から安土桃山時代に活躍した曲直瀬道三(まなせどうさん)が出てからである。江戸期に入り多くの優れた医師によって発展し今日の形になっている。

江戸期に日本の医学として発展した漢方医学であるが明治政府により富国強兵政策に適合しないとして葬り去られてしまった。幸いにも心ある医師や薬剤師によって細々と継承され、第二次大戦後に日本東洋医学会が結成され漢方は復興し現在に至っている。

漢方医学の特徴をあげると以下の四点になる。
1)未病を治す。
2)漢方は婦人・小児を大切に考える医学で、特に女性を大切に考えている。
3)漢方薬は豹変する。
4)漢方薬は作用がマイルドだが効果は大きい。

1)は二つの意味があり、一つは字のごとく予防医学的効果である。今一つは現在すでに病気にかかっているがそれが今後どのように進展してゆくのか予想し、それを予防するという意味である。例えばC型慢性肝炎の患者が今後肝硬変、そして肝臓がんに進展してゆかないように治療するという意味である。

2)は去年の老壮青スピーチの時に話したので省略したが現在の少子化社会に重要な考えである。

3)は漢方薬は少し手を加えただけで作用が大きく変化することである。

4)の特徴として甘草小麦大棗湯を取り上げて説明した。処方中の小麦やナツメは食料としても用いており、薬効は殆ど認めないが、それをごく少量組み合わせて用いるこの薬はヒステリー発作の治療に用いられており、最近ではパニック発作の治療にも用いて効果をあげている。

流産壁の女性に当帰芍薬散が有効であった症例、高齢者で脊柱管狭窄症の症例、インフルエンザの症例などを示し、少子高齢化社会や現在の感染症対策にも漢方薬が有用であることを述べた。

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