2022.8.24
「ロータリーとデータサイエンス」
滋賀大学 学長 竹村 彰通 氏
ロータリーに関するさまざまなデータを私なりに整理してみた。200以上の国と地域に、120数万人の会員がいる。ここ20年間で世界のクラブ数は5700ほど増えて約3万7000になった。会員総数はあまり変わっていない。女性会員の初加入は1989年で、少し遅い印象を受ける。日本のクラブ数は直近15年間では微減傾向にあり、会員数は約13万人(1997)をピークに約8万4000人(2022.5月末)まで減っている。
ロータリー財団の年次基金は2020-21年度が約1億4000万ドル。前年度の1億2700万ドルから伸びている。日本の基金が占める比率は約9%だった。一方で2017-18年度をみると、日本の会員1人当たりの寄付額は世界平均の1.3倍以上で、日本の貢献度の高さがわかる。
京都R.C.は、20年前に比べると会員数が1割減っているが、年齢分布や職業分類の人数割合の変化は少なく、クラブとして安定した運営がなされている印象を強く受けた。
これらは、数字を眺めた印象にすぎないが、データサイエンスの重要性はまさに、データから傾向などを分析し将来の活動に活かす点にある。
インターネットやスマートフォンなどの技術が急速に進歩して、社会は大きく変化した。スマートフォンなどのデジタルデータは常時ネットワークにつながり、処理される。そのビッグデータは「新たな資源」と言われる。処理・分析をして、情報提供などに役立てることによって経済的価値が生まれる。ビッグデータを獲得し、利活用する技術を持つ者が競争的優位に立つことになる。
日本は、分析技術の面で世界におくれをとった。その危機感から国は「AI戦略2019」という政策を打ち出し、「数理・データサイエンス・AI」の基礎力を育む教育改革に乗り出した。
滋賀大学は2017年に日本初のデータサイエンス学部を創設した。修士課程、博士課程も早期に設置し、学生や教員の数を順調に増やした。この分野の重要性が社会で認識されるなかで、企業との連携も積極的に進めてきた。その教育プログラムは文科省の認定制度で「リテラシーレベル(プラス)」に選定されている。
今年4月には「データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター」を開設し、社会と連携するためのマネージメントの強化と、先端的な研究のさらなる充実に向けて全学をあげて取り組んでいる。今後とも皆様のご支援をお願いしたい。
京都ロータリークラブ
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