2022.3.2

― 新会員スピーチ ―
「新聞(紙)のつくりかた」
篠遠 肇 君

新聞記者の仕事は漁師や農家などに例えることができる。取材は収穫に、記事の出稿は出荷と考えればいい。

では編集者とは何か。ずばり料理人だ。刺し身が美味しい場合もあれば、焼いてソースをかける時もある。新聞で言えば、ニュースの価値を判断しながら見出しやレイアウトを考える作業にあたる。付け合わせも大切だ。写真の大きさはどのくらいなのか。図や表を発注することもある。

突発事件への対応も大事だ。2008年9月。夜になって「首相がまもなく緊急記者会見」と発表があった。議題は不明。締め切りまで時間がない。出処進退を想定しつつ別の可能性にも備える。一番有力な臆測が、その年の北京五輪で活躍した北島康介選手への国民栄誉賞授与だった。結局、首相の辞任会見だったのだが、大事なのは素直に驚くこと。「やっぱり予想通り」などと斜に構えず、大きな見出しと写真をどんと出すことで、このニュースの重要度が一目でわかる紙面になる。

編集者が活躍するのは事件だけではない。

二本足で立つレッサーパンダ「風太」の大ブームは、「この写真かわいい。絶対に全国ニュース」という女性編集者の思いがきっかけだった。千葉版向けのローカルニュースを社会面に引き上げて掲載。翌日にはテレビなどが一斉に追いかけ、風太くんは全国的なアイドルになった。

最後に、新聞編集者として経験した最大の事件を紹介したい。2001年9月11日夜におきた、米の高層ビルに飛行機が突っ込んだ「米同時多発テロ」。すでに印刷を始めていた初版の1面を改造。CNNを見て見出しを考えながら国内ニュースをぎりぎりまで短く削る。「NYビルに飛行機衝突」という大見出しと24行の原稿をねじ込むことができた。

実はここまで話してきた大半のことは「新聞紙」の編集テクニック。インターネット時代となり、紙からデジタルへ新聞は急速にシフトしている。「紙」の技術は、すでに「伝統技術」なのかもしれない。編集者の他の仕事やデジタル化でどう変わったかは、別の機会があればご紹介させていただきたい。

京都ロータリークラブ
〒604-0924 京都市中京区河原町通御池上るヤサカ河原町ビル4F
Tel 075-231-8738 Fax 075-211-1172
office@kyotorotary.com

Copyright (c) 2007 Rotary Club of Kyoto. All Rights Reserved. Site Map