2021.9.1

― 新会員スピーチ ―
「建築構造の世界」
安井 雅明 君

私達は建築を普段毎日目にし、それを利用しています。建築は伝統的な建物から、ハイテク技術を応用した最新の建物まで、多種多様です。現在建築をつくるためには、建築デザイナーの他、「建築構造技術者」が必ず関与しています。

日本の建築構造の歴史を振り返りますと、江戸時代以前は伝統や様式や経験に基づいて建物構造が造られており、まだ独立した職能ではありませんでした。建築構造が物理的・科学的に本格的に取り扱われたのは明治時代に入ってからです。それを契機に建築構造が独立した職能として確立していくことになります。大正から昭和の時代にかけて優れた個人の構造家と呼ばれる人たちが数多く現れ、さまざまな新しい建築の形態を実現してきました。そして現在は一人の構造家というより、多くは組織化された複数の構造技術者が、建築構造を造っています。

現在建築構造の分野や取扱うテーマは数多くありますが、私はそれらを「一般構造」「ハイテク系」「空間構造」「トレンド系など」の大きく4つの分野でとらえています。「一般建築」は木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など現在新築される多くの建物が該当します。「ハイテク系」とは超高層ビルを中心とした制震構造や免震構造など先端技術を応用した建物です。「空間構造」は大ホールなど柱のない大空間を扱う建築分野です。「トレンド系など」は時代の要請に応じ、環境配慮をテーマとした新木造や、良い建物を長く使うことにより廃棄物を少なくする耐震補強の分野などを挙げることが出来ます。

建築構造に携わる技術者は常に2つのことを考えています。一つは「技術面」において地震や台風などの自然の驚異に対して、科学的に安全で、使う方々に安心を提供することです。もう一つは「芸術面」において、美しい形やお使いになる方に気持ちよく感じて頂ける空間を提供することです。私は建築構造の世界に30年以上携わってきました。一般にはあまり知られていない建築構造は縁の下の仕事ですが、構造が建物を安全に、そして美しく支えているのです。

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