2020.11.11
― 新会員スピーチ ―
「家に出来る事」
大村 泰志 君
住宅の建築に関わって29年になります。「家に出来る事」という演題でスピーチさせて頂きます。建築の中でも住宅に拘り、様々な経験をしました。これまで「家」に求められていた事というと安心、安全、快適等のハード面を中心としたものでした。これからは「家」という有形資産が、人生100年時代と言われる中で、どの様な無形資産を創り出せるかという事が求められていると思います。
そこで、家が健康を創り出すという事についてお話させて頂きます。
「車に出来る事」という表現で比較してみます。交通事故による死亡者数はエアバッグの普及やABSの搭載により大幅に減少しています。平成20年中の交通事故死者数は,5,155人で,過去最悪であった昭和45年の1万6,765人の3分の1以下になっています。まさしく、車の動力的な技術だけでなく、生命を守る技術への変革が、この様な結果を生み出しています。しかし、家で起こる急性疾患や事故はいまだ多く発生しています。例えば脳卒中の年間発症者数はおよそ29万人とされ、その約79%(約23万人)が「家」で発生しています。脳卒中は早期の治療が重要な疾患です。有効な治療法がすでに開発されていますが、家での発症の場合は発見の遅れにより、対象患者の一部にしか投与されていません。その結果、高齢者を中心に毎年1.5万人の方が家で亡くなっておられます。まさにピーク時の交通死亡者数に匹敵します。
そこで、「家に出来る事」。家が健康を作り出すという新しい価値を創造します。それは住む人の命を守ることができるという理由だけではなく、将来的にはその後の治療にかかる費用や負担を可能な限り低く抑え、共に暮らす家族の生活を救うことにもつながります。
そのシステムが在宅時急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」です。具体的な内容をご説明すると、住宅内で住まい手から取得できる生体情報であるバイタルデータを非接触で検知・解析し、急性疾患発症の可能性がある異常を検知した場合に緊急通報センターに通知、オペレーターが呼びかけにより安否確認を行い、救急への出動要請、そして救急隊の到着を確認し、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行うという仕組みとなります。
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