2019.11.27

「『チコちゃんに叱られる!』はこうして生まれた」
日本放送協会 制作局 専任部長
水高 満 氏

「チコちゃんに叱られる!」は、5歳の女の子が日常の素朴な疑問を大人たちに投げかけ、大人たちが答えられずにアタフタしていると「ボーっと生きてんじゃねーよ!」の決め台詞で叱る、というスタイルの番組だ。その素朴な疑問について調べると、歴史的に深い意味があったり、人体の不思議という結果にたどり着いたりする。

かつてフジテレビでバラエティ番組などを手がけた小松純也氏と食事をした時、「子どもに疑問を投げかけられると大人は適当にごまかすけど、ほとんど答えられない。それを番組にしよう」という話になり、チコちゃんは生まれた。

企画を具体化するために、まずスタッフ全員がチコちゃんは実在すると思えるくらいまで、キャラクター設定を詰めた。彼女は港区白金生まれ。おかっぱ頭で、ひと時代前にいたような、毒舌だが正直な5歳の女の子だ。決め台詞の「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は、人を罵倒するためだけに使うのはやめよう、と決めた。

チコちゃんの姿は、着ぐるみとCGの融合で表現している。収録時には着ぐるみで登場する。そのあと編集によって顔をCGに置き換え、表情をくるくる変えている。NHKアートの最新技術を使っていることでも注目されている。

チコちゃんの声は木村祐一さんが担当している。台本なしで、木村さんが自由に話す。東京出身のはずなのに関西弁も飛び出すし、5歳なのに大洋ホエールズを知っている、という謎めいた存在になっている。出演者の岡村隆史さんにも独特の存在感がある。半ズボン姿でチコちゃんと手をつないで登場しても違和感がない。タメぐちで話す二人を見て、ゲストも自然にチコちゃんワールドへ引き込まれていく。

他のクイズ番組と違うのは、答え合わせにピークがあるのではなく、「そういえば私も知らずにスルーして大人になってきた」という気づきにピークがある点だ。みんながスルーしている物事について立ち止まって掘り下げてみると、世界が広がってすごく楽しいよ、というメッセージが伝わればと思っている。

番組づくりにおいては、①受け手の気持ちになる②できない理由を並べるのは禁止③良いと思うことでも一度否定してみる④台本にとらわれない、という四つを心がけている。今後の展開もいろいろと考えているので、ご期待いただきたい。

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