2019.6.5

―新会員スピーチ―
「地震とガス事業」
大阪ガス(株) 理事 京滋地区総支配人
松尾 一哉 君

私は西宮の自宅で阪神淡路大震災を経験(震度7)しました。東京勤務では東日本大震災を東京大手町の事務所で経験(震度5強)しました。

京都では近年大きな被害を伴う地震はありませんが、歴史を振り返ればそうでもありません。南海トラフ大地震が警告されるなか、京都の地震の歴史に触れながら、ガス事業の地震対策についてご紹介し、まさかの時に少しでもお役に立てばとお話させて頂きます。

まず都市ガス事業は、海外で採掘された天然ガスを液化しLNG(液化天然ガス)タンカーで日本まで輸送してきます。大阪ガスでは、泉北と姫路にある製造所でLNGを受け入れ、ガスに気化させ、圧力を高め関西一円に送出しています。パイプライン網では、圧力を高圧→中圧→低圧と減圧しながら、工場・ビル・ご家庭にお届けするという仕組みです。製造所は広大で複雑な設備ですが、耐震・浸水に備えた強度・仕様に高度化されています。パイプライン網では、高圧・中圧用のガス管は鋼管製で震度7にも耐えます。ただパイプライン総延長(62,000km)の88%を占める低圧網では一部被害が発生します。低圧でもポリエチレン管であれば震度7でも大丈夫ですが、全体の耐震化率は87%です。8,000km程の低圧ガス管は未対策です。パイプライン網は164のブロックに区分され、地震発災時には感震遮断・遠隔遮断でガス供給をコントロールします。お客様先ではマイコンメーターが自動でガスを遮断します。ご家庭でのマイコンメーターの普及率は100%です。大型地震の場合、日本ガス協会の下に全国のガス事業者が集結し、早期復旧を目指します。ただガス管は地下に埋設されており、漏洩箇所の特定・修繕には一定の時間が必要です。そして各戸のガスの開栓にはお客様の立会いの上、気密検査・排気設備確認・燃焼テストを行なう必要があり、多大の時間を要する作業となります。ガス事業者は、設備の安全高度化への努力を継続していますが、大型地震の場合にはご迷惑をお掛けすることは必至です。地震発災時には各ご家庭での安全確保と共にご理解・ご協力を賜れれば幸いです。

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