2019.5.15

「『開かれた対話』が日本を救う~世界の先端企業が実践する『対話』の新常識」
大阪ガス(株) エネルギー・文化研究所 主席研究員
鈴木 隆 氏

日本の経済は長期にわたって停滞してきた。抜本的な改革の断行が先送りされたことがその理由ではないか、と思う。

人口が減り続ける日本では今後の経済見通しも厳しい。経済を活性化させるには、マーケティングによる新しい市場の創出が一つの手立てになる。だが、生産年齢人口(15~64歳)の減少もまた、日本経済に大きな問題を投げかけている。少ない働き手で生産性をあげていかねばならない。「働き方改革」も、残業を減らし、有給休暇を消化するだけでは対症療法に終わる。仕事の内容とやり方の見直しが必要だと思う。

その処方箋は、イノベーションで新しい価値を創造することだ。イノベーションとは「新結合の遂行」であって、難しい技術革新だけを指すものではない。平凡なイノベーションであっても、その積み重ねが経済の活性化につながる。

とくに、企業内外のアイデアを有機的に結合させ価値を創造する、オープンイノベーションが海外では当たり前になってきている。それにふさわしいコミュニケーションが「オープンダイアローグ(開かれた対話)」だと私は考えている。

対話は、たんに交流する「会話」、あるいは大切な事柄を決定するための「議論」とは違う。専門にとらわれず、こだわりを捨て、異なる意見を持ち寄って理解を深め合うことだ。そうして衆知を集めイノベーションを生みだす。タテ社会、イエ社会といわいれる日本では対話が欠落しがちだが、私はヨーロッパや中国の実践例を視察して、ビジネスにおける開かれた対話の大切さを痛感した。急激で複雑な変化に対応するためにも、対話はこれからますます重要になる。

対話で成果を挙げるためのポイントは、①多様性(受け入れる)②主体性③傾聴④質問⑤内省(振り返る)の五つだ。多様性は能力に優るとも言われるが、残念ながら日本は多様性に欠けている。また、主体性に欠けるのは、「わたくしを消す教育」の結果とも言える。

開かれた対話を取り入れ、成果を挙げる日本企業も出てきている。これからは、開かれた対話によって体質改善を図り、多様性と主体性を高めていく必要がある。そうすれば令和を「復活の歳月」にして行くことができると考えている。

京都ロータリークラブ
〒604-0924 京都市中京区河原町通御池上るヤサカ河原町ビル4F
Tel 075-231-8738 Fax 075-211-1172
office@kyotorotary.com

Copyright (c) 2007 Rotary Club of Kyoto. All Rights Reserved. Site Map