2019.3.27

「劇団四季の社会貢献」
四季(株)(劇団四季)代表取締役会長
佐々木 典夫 氏

劇団四季の創立は昭和28(1953)年。10人の学生で立ち上げた。創立メンバーの一人、浅利慶太(2018年逝去)が長年、法人の代表と芸術総監督を務めていた。浅利は、俳優だった父が本業だけで生活できなかったことから、演劇と経済の両立を目標に掲げた。同時に彼は「演劇は文学の立体化」との考えに立った舞台をめざした。

劇団ができて10年目に浅利は、石原慎太郎さんと共に日生劇場の運営を任された。当時、日本生命の社長だった弘世現(ひろせげん)氏の「次代を担う子どもたちのための舞台を作ってほしい」という思いに応え、1964年から「ニッセイ名作劇場」が始まった。東京都内の小学6年生を日生劇場に招待し、生きていくうえで何が大切か、というメッセージを50年間、届け続けた。

その時に作った作品を、全国の子どもたちにも観てもらおうと、2008年から始めたのが「こころの劇場」だ。毎年、北は利尻島、南は石垣島まで180都市を回る。子どもたちを招待し、ミュージカルを通じて「いのちの大切さ」「信じ合う喜び」などを伝えていくことをめざしている。

「こころの劇場」の原点には、劇団四季が全国進出を目指した頃に、支援してくださった皆様への恩返しの意味がある。15年目を迎えた当時はまだ弱小劇団で、全国での公演には大変な苦難をともなった。その時、牛尾治朗さんが各地の青年会議所の理事長を紹介してくださるなど、全力で支援してくださった。全国のロータリアンの皆様にも助けられた。そのネットワークに支えられて、劇団の今がある。昨年の総公演回数は約3100回。年間およそ320万人のお客様が、全国各地の劇場に足を運んでくださるようになった。

社会貢献というとおこがましいが、日産自動車の労働組合と共に運営するチャリティー公演も続けている。小学校や企業を訪ねる「話し方教室」は年間1400コマにのぼる。

劇団の稽古場には「ナレ ダレ クズレ=サレ」という垂れ幕がある。慣れると正確な演技ができなくなり、だれる。すると劇団の活動そのものが崩れる。そういう人は劇団から去れ、という厳しい標語だ。この思いを劇団の全員が共有している。明日を元気に頑張って生きようと思っていただける舞台を、今後もお届けしていきたい。

京都劇場では7月から「ノートルダムの鐘」を上演する。ぜひご覧いただきたい。

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