2019.2.20

「カンボジア内戦、その傷跡と復興への道」
NGO JST代表、
日本国政府アンコール遺跡救済チーム通訳・渉外・現場監督補助
チア・ノル 氏
NGO JSTメンバー
小出 陽子 氏

私の生まれたカンボジアで1975年、原始共産主義を掲げるポル・ポト政権が誕生した。彼らは紙幣、学校、宗教すべてを廃止した。政権への抵抗を恐れた彼らは、知識層はじめ大勢の国民を処刑した。医者だった私の父、高校生だった兄ふたり、母までがスパイとみなされて連行され、どこかで処刑された。大虐殺の犠牲になった。

私は1980年、13歳の時にタイの難民キャンプを経由して、難民として日本へ渡った。日本人の里親のもとで大学卒業まで日本で暮らした。

大学を出た直後に、日本が支援していた世界文化遺産修復を担うメンバーとしてカンボジアに派遣され、14年ぶりに祖国で働くことになった。

アンコール遺跡修復の作業員を近隣の村から集めたのをきっかけに地元の人々との絆が生まれ、私は村の支援を考えるようになった。長年の内戦で壊れた道路などインフラを整備した。2005年には、NGOの「JST(アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成機構)」を設立。多くのご支援をいただいて、カンボジアの農村地域の問題を少しでも解決できるシステムづくりを、と考え続けてきた。

教育環境を向上させることも重要課題の一つだ。2013年には、京都ロータリークラブのご支援もいただき、アンコール遺跡の側に「バイヨン中学校」をつくった。給料の少ない教員を援助するための教員宿舎も整備できた。現在は516人の生徒たちが、午前・午後の二部制で学んでいる。

カンボジアの再建は、東南アジア諸国の中でも後れている。衛生面の問題、子どもたちの栄養不足など、様々な問題が山積している。環境問題も深刻だ。ごみ焼却炉さえ整備されていない。バイヨン中学では今年度京都ロータリークラブにより焼却炉を造り、学校で出たごみを燃やすようにした。これは環境教育にもつながっている。

国からの教育予算は、生徒一人当たり年間2ドル。これでは学校の運営は難しい。そこで私は、野菜づくりや魚の養殖など、販売できる物の製品化を目指している。その収益で学校運営ができるようになれば、と考えている。

人間は教育によって物事を判断できるようになると思う。ポル・ポト時代のような大虐殺を繰り返さないためにどうすればよいか、学び考えることもできる。カンボジアのために何ができるか。私は常に自分に問いかけながら活動している。

これからも皆様のご支援をお願いします。

京都ロータリークラブ
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