2018.11.14

「大学改革の先端に立つ京都先端科学大学の試み」
京都学園大学 副学長
日本電産(株) 生産技術研究所 所長
前田 正史 氏

日本電産の永守(重信)さんが今年、学校法人京都学園の理事長に就任した。彼は、企業経営者として6000人以上の大卒者を採用してきた。聞けばなかには、モータの技術者を採用したつもりがモータなんか触ったこともないという人、マクロ経済を語れるのに会社の会計書類を理解できない人などがいたそうだ。その経験から、日本の教育システムには足りないものがあるんじゃないか、と考えるようになったという。

永守理事長のもと、京都学園大学は変革への取り組みを宣言した。来年4月には本拠を亀岡市から京都市へ移し、名称を「京都先端科学大学」と改める。教育や研究の中身を改革し、世界で活躍できる若者の育成に、より力を入れていく。

大学は、社会の要請に応える責任がある。教育面では学生に、社会が求める極めて高いレベルの能力を身につけさせることが重要だ。一方で、大学の評価に大きく関わる学術研究は、独立したものとして世界的に通用する高いレベルをめざしていく。

2020年4月には、工学部と工学研究科の設置を構想中だ。モータ工学、ロボット工学などの分野で必要とされる人材像を明確に意識した教育システムをつくり、世界的に通用する研究者、技術者の育成をめざす。教育面では製造現場で即、力を発揮できる人間を育て、研究面では世界最先端の研究を進められる環境を整備したい。

加えて国際競争力のある人材を育成するため、英語教育を重視。ベルリッツの協力を得て、役立つ英語を徹底的に身につけられるプログラムを導入する。基礎となる物理と数学も重視する。卒業論文の代わりに、キャップストーンプログラム(企業から提示された課題の解決にチームで取り組む実践的教育プログラム)を組み込むなど、従来とはひと味ちがったカリキュラムを考えている。教員については、公募によって世界から多様な人材が集まった。これによって大学自体のダイバーシティ(多様性)も高まると考えている。

「先端科学」の名称は理系を連想させるが、文系をおろそかにするつもりは全くない。人文学や社会科学の考え方は、理系の学術研究を支える基盤になると考えている。

ユニークな取り組みを始めた本学に、これからも皆さまのご支援をお願いしたい。

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