2018.9.12

「『京都の御大礼』の画期的な意義」
京都産業大学名誉教授・モラロジー研究所教授
所 功 氏

私は長らく京都産業大学に勤めました。その間、京都に住んで多くを学び得たことに心から感謝しています。少しでもそのご恩返しができれば、と数年前に考えたのが大正天皇の御大礼をテーマにした展覧会の開催でした。今回、多くの皆様のご尽力によって、「京都の御大礼」という展覧会の開催が実現しました。

この展覧会には、多くのみどころがあります。まずは江戸時代前期の即位式を描いた屏風絵です。紫宸殿の高御座(たかみくら)に座られた東山天皇や、譲位をされ仙洞御所へ移る霊元上皇の大行列が描かれています。今回、この屏風絵を基に実際の4分の1のスケールで忠実に復元した模型も展示。たいへん見応えがあります。

また、二つの行幸図屏風も見どころです。一つは関白となった秀吉が後陽成天皇を聚楽第へお招きした時の様子を描いた屏風です。もう一つには徳川家光が後水尾天皇を二条城へお招きした時の行列が描かれています。沿道の見物人も表情豊かで当時の賑わいが伝わってきます。

即位式と大嘗祭の貴重な資料もたくさん展示しています。大嘗祭でお供えする穀物をどの田んぼから収穫するかを決める卜定(ぼくじょう)に使われた亀甲は、たいへん貴重です。

大嘗祭の後の大饗というおもてなしの行事の時、会場に飾られた悠紀主基(ゆきすき)屏風は今回、初のお目見えです。大嘗祭の穀物を収穫する悠紀地方(=東日本代表)・主基地方(=西日本代表)の様子などが描かれています。

大正天皇(大正4年)、昭和天皇(昭和3年)の御大礼は京都で行われました。御大礼は京都が発展する大きな契機になりました。御大礼に際して京都に来る大勢の人を迎えるために旅館が増え、料理などもレベルアップしたといわれます。

民族学者の梅棹忠夫氏はかつて「京都は単なる古都ではない。まして単なる観光都市ではない。儀典都市だ」と言われました。伝統的な儀式や典礼には、知恵・人材・技術など全てが揃わなくてはなりません。御大礼を担ってきた京都にはその伝統的な力が伝わっています。「双京構想」がいわれる今、東京と京都がそれぞれの役割を果たし、相互に補完し合っていかねばなりません。そのためにも、御大礼の歴史をぜひこの機会にご覧いただきたいと願っています。

※展覧会公式HP:https://kyoto-gotairei.com

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