2018.5.16

「居場所を失った子ども達」
NPO法人 子どもシェルターののさん 代表
弁護士
安保 千秋 氏

2012年4月から女の子専門の子どもシェルター「はるの家」を開設しました。今までの6年間で121名(約20 /年)の子どもが来ています。場所は非公開としています。年齢は、おおむね15歳から20歳までで最年少は10歳、一番多いのが15歳です。義務教育終了したあとの子ども達にいかに行き場がない子が多いかということがわかります。

「子どもシェルター」では、事実上、法律上、親の監護を受けることができず、行き場のない子どもに衣食住等の安全を確保し、ただ保護するだけではなく社会的に自立するための福祉的・法的支援を行っています。このようなシェルターは現在全国で15か所あり、京都では私どもが初めてです。では何故シェルターが必要か、ということですが、子どものことを取り組む弁護士は、事件を起こした少年が立ち直れるように支援する活動をしますが、その時に関わった少年には虐待を受けた子どもがいることがわかりました。虐待を受けた子どもは、例えば小さい時に力の支配で殴られたため、自分が力を持った時に人を殴るとか、親の愛情を受けなかったために社会での人間関係をうまくつくることができず色々なところでトラブルを起こしてしまったりしています。こうした子どもを更生していくためには、受け入れる場所や支援をしてくれる人が必要なのです。

虐待には「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」がありますが、虐待に関する相談は年々増加していて、今、年間で約20万件にもなります。虐待を受けた子どもを放置すると、今の問題だけでなく次の世代に至るまで大きな影響があります。ですから虐待を受けている子どもを見た時には放っておかず、きちんと保護し、安全な場所で家庭的な暮らしをさせて、もう一度子どもに育ち直しをしてもらう。その後自立に向けて、自立ができるまで長いスパンで支援をしていく、ということが必要です。行き場のない子ども達には、独りぼっちではないことをきちんと伝え、子どもらしい生活ができる安全な場所を提供し、大人が寄り添い、長いスパンで支援していく、そして最終的には全ての子育て世代を支援することが必要で、そのためには社会の理解が必要だと思っています。

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