2017.6.7

― 新会員スピーチ ―
「訪日外国人マーケットの最新事情について」
(株)JTB西日本 京都支店 執行役員支店長
森口 浩紀 君

訪日外国人旅行者数は、2015年の中国人の「爆買」ピークから一息感がありましたが、2016年も前年比22%増となり、過去最高の2,403万人となりました。特に国籍別シェアではアジアが85%を占めるまでにいたっています。その増加の背景は、円安進行や訪日ビザ緩和、免税制度改定、LCCを中心とした航空便の増加等、様々な要素によるものです。今や日本人の海外旅行者数よりも訪日旅行者数が多くなり、その差は更に拡大していくものと予測されます。
訪日外国人の増加により宿泊事情も大きく変化してきています。日本全体の外国人宿泊比率は18.7%に上昇、東京・大阪では32%前後、欧米人が多く訪れる京都市内のホテルは過去最高の37%を記録しています。大都市のホテルに限っては客室稼働率が平均80%代後半となり、業務出張等の宿泊確保への影響も取り沙汰されています。

また、外国人旅行者数の22%増に対して、外国人宿泊者数は8%増と伸率の違いが表れています。これはLCCの深夜便、早朝便増加による空港内で過ごす人々の増加や深夜バス利用者の増加、そして社会問題となりつつある違法な「民泊」の激増が原因と言われています。国による早急な規制の強化が待たれるところです。 訪日外国人の消費総額も、爆買は落ち着きましたが、2012年と比較しても昨年は3兆7千億円と4年間で3.5倍となり、昨年よりも増加しています。日本へのリピーター増加による一人当たりの消費単価は155千円と10%減少していますが、旅行者数の伸びにより消費総額も確実に拡大しています。

訪日外国人マーケットは、2016年より継続可能な現実的な成長率に移ってきたと考えられ、年10%前後の伸率は十分成長マーケットであると言えます。政府目標である2020年訪日客数4,000万人、消費額6兆円も現実味を帯びてきたようです。

先般の世界経済フォーラムが発表した2017年「観光競争力ランキング」で、日本はスペイン、フランス、ドイツに次いで過去最高の「4位」に躍進しました。一方で、日本の外国人受入数は世界16位であり、観光立国を目指すには更なる観光関連インフラの整備や、モノからコトへのサービス消費を一層充実させることが必要と言えそうです。

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