2013.10.9

「産業振興、地域振興に対する思い」
京都府副知事
山下 晃正 氏

昭和43年、京都府政100周年の時から、100年企業を表彰しており、昨年までで1800社を超える企業が表彰を受けています。昨年は嬉しいことに1000年企業も1社、表彰させていただきました。

しかしながら、京都では毎年、年間2500の事業所がなくなっており、そのうち、後継者不足による廃業が500事業所にも及んでいます。この状況を何とかしたい、また、中堅企業の厚みをもっと付けたい、との思いから、昨年、京都老舗の会を作りました。

100年表彰を始めた時に出版の『老舗と家訓』という本を読んで、気付くことがあります。それは、老舗の家訓には、利益第一主義経営を説いたものはひとつもなく、社会的ニーズを満たした後から利益がついてくるという「先義後利」を説いたものが圧倒的であること、また、誰かに評価してもらうためではなく、陰で徳を積むこと、つまり陰徳という教えが説かれている、ということです。老舗は企業ではなく家業であり、経営者のあるべき姿を家訓で教えているのです。

また、京都のマーケティングにおける最高のキーポイントは“京都”であり、“京都”と名前が付くだけで価値が上がります。そのブランド力は、京都に住んで働いた経営者や技を磨いた職人の方々の1000年に亘る努力の賜に他なりません。

京都は世界一、企業寿命が長い地域です。それは、文化や風習を大切にし、1000年企業が存続できるような器、市場を皆が作ってきたからであり、これを私は誇るべきことであると思います。

グローバルな世の中から見たら、京都の持っている利点は、色々なところで応用が可能であり、京都の産業の特性を根幹に置きながら、京都のいいところは潰さない、との思いで産業政策の仕事をしています。

最後に、老舗の経営者の方と話して常に思うことは、「成功体験ほど怖いものはない」ということです。人間は失敗は必ず反省するけれども、成功体験はなかなか反省しない。成功体験ほど反省しなければなりません。老舗が潰れるのは成功体験に溺れたときなのです

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