2013.3.6

― 新会員スピーチ ―
「雑談CM考『CMは時代を映す鏡』」
(株)電通 京都支社 支社長
宇治田 達 君

本年2013年は民放テレビ局開局60周年にあたる。すなわちテレビコマーシャルも同じく還暦を迎える。大量のCMの洪水を浴びながらも、いつまでも皆の心に残るCMには共通するものがあるように思える。今回は時代の空気や風に注目して社会とテレビCMとの関わりを振り返ってみた。

1953年8月28日、日本のテレビCMは時報CMから始まった。戦後日本の暗い影に、アニメとCMソングがその軽快なリズムで明るさをもたらした。

60年代に入ると東京オリンピック、皇太子様御成婚など、国民的イベントが後押しし、半ば以降からカラーテレビが本格的普及期に入る。テレビCMで情報を入手し、モノが売れる、社会もCMも、高度成長期だった。

70年代にはいると、そんな大量生産、大量消費の社会に、CMは新しい価値観を提案する。「モーレツからビューティフルへ」。オイルショックを前に、アンチテーゼを唱え、CMが社会をリードして行く。

未曾有のバブル期に突入する80年代、女性初の党首が誕生するなど「マドンナ旋風」に沸く一方で、シンデレラエクスプレスに代表されるようにCMの女性観はノスタルジーに逆戻りして行く。

程なくバブル崩壊を迎え、90年代から21世紀前半は失われた時代。浮かれた気分から一転し、「恋は遠い日の花火ではない」の名コピーのような、CMはささやかな幸せや心動く出来事を描いて行く。一方でデジタル技術の進化により、エンターテインメントCMが誕生してきたのもこの時代から。

そして2011年3月11日東日本大震災の日を迎える。我々は忘れかけていた人と人との繋がりや絆の大切さを再認識する。震災翌日に全線開通した九州新幹線のCMは、震災に先駆けるように、迷走する社会に対してみんなが「ひとつになる」ことの大切さを訴えていたように思えてならない。テレビコマーシャル60年を足早に振り返ってみた。

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